母校支援

学ぶ楽しさを知ったからこそ伝えたい!

電機大で身につけた「楽しく学ぶ」ということ

入学後のオリエンテーションで、東京電機大学の教授陣が楽しそうに講義している姿を見て、ここは自由に学べる場所であり、私も楽しく勉強してみたいと思ったことがきっかけで、「楽しく学ぶ」ことを意識しはじめました。

そんな時、たまたま掲示板で見つけた学習ボランティアの募集に応募し、地元の中学校で理系教科を教える機会を得ました。事情があって、教室に行くことができない生徒と一緒に私も復習しながら学びました。

その生徒が卒業する時、「わかったと感じたときが一番楽しく、勉強することがとても好きになりました。高校では、教室に行って、たくさん友達を作って、いろんなチャレンジをしたくなりました。先生ありがとうございます。」と言ってもらったのです。


在学時以降現在も愛用している教科書

その後、電車でその生徒に会った時、あこがれていた制服を着て、友達と生き生きと楽しそうに話している姿に感動し、今でも忘れられない大切な思い出となっています。

そんな中、学ぶ楽しさを知らない人たちに、どうしたらその楽しさを伝えられるかを考えたとき、私も教師になって理系教科を教えられるようになりたいと強く思ったのです。

当時の環境化学科では理科と数学の教員免許を取得することができたので、両方を取得するために積極的に大学の授業を履修し、最終的には194単位を取得して卒業し、幅広い分野を楽しく学ぶことができたことに感謝しています。

社会人経験を積む中で感じた学び直しの必要

最初から教育の道に進むつもりでしたが、生徒から進路相談を受けたときに的確な指導ができるように、また、縁あって学部卒で研究開発職に就くことができたこともあり、まずは社会人経験を積んでから教員を目指そうと考え直しました。

就職したのは、ガラス繊維を混ぜ合わせてエアフィルタを製品化し販売している会社で、エアフィルタの設計や新規事業の立ち上げ、他企業との共同研究開発など、貴重な経験をさせていただきました。

そこでは、プロジェクトを進める中で、「修士」「博士」「技術士」といったスマートな人たちと出会う機会が多く、自分で考えてプロジェクトを進めていけるようになりたいと強く思うようになったのです。そのために、まずは、大好きなガラスやセラミックスに関すること、基礎研究技能、それらの基礎知識・理論、原理を学び直す必要があると考え、貯めたお金で大学院へ進学することを決意。

北陸先端技術大学院大学(以下、JAIST)では、入学試験に合格し、入学してから研究室に配属されるまでの2か月間に、研究室を訪問して先生方や先輩方と直接話をして、自分のやりたい研究を選択することができます。そこで、京都大学から4月に異動されてきたガラスや長残光蛍光体などのセラミックス材料や個体物理等を専門に研究されている上田純平准教授と出会い、毎日楽しく学んでいます。

学ぶ上で私が心がけている3つのこと

まず、疑問に思ったことは、細かいことでも必ず質問するようにしています。研究というのは、小さなことにも気づける能力や観察力が必要だと思っていますので、それを先生に科学的な原理や事象を併せて論理的に報告し、何度も議論する習慣が身に付きました。だんだん話し方に説得力がでてきたといわれ、成長を楽しむ日々です。

次に、楽しみながら、日々の成長を実感できることを常に意識しています。研究はとても楽しく、どのようなプロセスで目標にたどり着けるかを考え、何度も議論し、成果が出たときに発表できることにやりがいを感じています。

しかし、中には、学歴が欲しい、就活に有利になるからと好きでもない研究をして、締め切りに追われて論文を書かなければならず、楽しいどころか苦痛でしかないという声も聞きます。私は、今の環境で、優秀な先生方(研究者)に囲まれて、楽しく充実した日々を送ることができ、目標を見失わないよう常に意識を高く持つことを心がけています。

最後に、学生の約半分の方が海外からの留学生です。そのため、英語で話したり、書いたりすることは日常茶飯事です。細かい文法や言い回しに気を配ることもとても大事だと思いますが、まずは言葉を発する勇気と度胸が必要だと日々感じています。

入学当時は、中学生で習うような単語も緊張すると出てこなくて苦労しました。しかし、留学生の方々は優しく、英語で話すことの壁を理解してくれるだけでなく聞き取ろうと努力し、「あなたが言いたいのはこういうことですか?」と確認してくれました。

とにかく話してみるということを繰り返すことで英語力も日々向上していると思います。文化も違うので、お互いの国の違いを紹介したり、母国の料理を持ち寄ったり、写真を見せ合ったりと、充実した日々です。


現在のテーマ選択のきかっけとなった雪の結晶構造の分子模型を観察している様子

今の私が目指していること

まずは、楽しく研究生活を送れるようにするには、科学者として正しい知識を身に着け、論理的に話す力を養うことが必要だと考えています。JAISTでは、研究室間のつながりが強いため、主担当教員以外の先生でも快く相談に乗ってくださるので、いろいろな視点で観察できるよう鍛えていきたいと思っています。

次に、目標を見失わず、細部にまで気を配り、地道に研究を行い、研究成果が出たときに誰もが美しいと感じるような論文を書ける研究者を目指しています。

そして、仕事以外でも趣味の一環として、「家庭派遣型ひとり親家庭学習支援ボランティア活動」に積極的に参加していきたいです。理系が苦手で困っている生徒さんたちに学ぶことの楽しさを伝えることが私の願いですから。

参考:ちなみに学び直しを考えている方へのお役立ち情報

JAISTは、研究大学院大学という学部を持たない特殊な国公立大学であり、もう一度学び直したい、学部で学んだことと違うことにチャレンジしたいといった情熱ある学生を募集しています。

特に、私が所属しているマテリアルサイエンス系では、講習を受けて合格すれば1人で使用することができる高価な機器がたくさんあり、素晴らしい環境です。自分で試料作製から観測・測定ができる研究室の多さが良いところだと思います。

英語を日常的に使用するため、語学力の向上はもちろん、国際学会に参加するための専門的能力を身につけることも可能で、まるで留学しているかのような生活を送ることができることも特徴です。

また、奨学金制度や、高時給のティーチングアシスタント、ラボラトリーアシスタントなどの実験アルバイト等、経済的にも手厚いサポートが受けられます。また、大学院の敷地内に寮があって格安で住むことができ、無料で使用できるインターネット環境も整っているので、お財布にも優しいです。

平成30年卒業
工学部第一部環境化学科
坪原(旧:三田地) 真旺