連載第2弾!技術者の血は騒ぐ。昨日を魔改造して未来へ!
昨年(2025年)、テレビで見ていた「魔改造の夜」に自身が参戦し、チームとして結果を残すことができました。製作期間は1か月半という短期間。1日1日の内容が濃い期間だったということもあり、終わった後の1週間の片づけ期間は魔改造部屋だった体育館にできるだけ来たいと思いながら過ごしました。ロス感は思いのほか、大きかったのだと思います。今回は、魔改造プロジェクトを通じて得たチームビルディングの大切さにフォーカスして書いていきたいと思います。
しがらみなしの全力投球。若手の起爆剤になれたら!
参加のきっかけは、技術者としての血が騒いだからです。もともとNHKの「魔改造の夜」という番組は知っていて、この番組企画にチャレンジできると聞き、ぜひ参加したいと思いました。
入社10年という節目を迎え、これまでATMや釣銭機の紙幣ユニットのメカ設計者として培ってきた実力が果たしてどこまで通用するのか。社内のルールや諸々のしがらみを取り払い、全力投球したときに自分はどこまでやれるのかを試してみたい、という気持ちもありました。
当初、個人的にはテレビへの露出は極力避けたいと考えていたため、サポートメンバーとしての参加を志望していました。しかし、「今全力で向き合わなければ一生後悔する」と思い直し、自らの手で魔改造を実行するコアメンバーへと志望を方向転換しました。さらに、大学時代から現在に至るまでお世話になった方々への感謝の気持ちと、自分の背中を見せることで若手がチャレンジする起爆剤になれたらという想いもあり、参加を決意しました。

画像提供:OKI
「あとは離すだけ」の難しさ。最後まで苦労したアーム設計
私はゴリラちゃんの、ロープをつかんで離す部分(以下、アーム)のメカ設計を担当しました。
ロープのキャッチからリリースまで段階的に開発を進めていく中で、リリース機能がない状態でテスト走行をしていた時期がありました。ある時、ロープのキャッチと保持が成功し、メンバー全員が歓喜した瞬間がありました。大きな前進であることは事実で、周囲は「あとはリリースするだけ」という雰囲気になりましたが、私は正直なところ、手放しでは喜べませんでした(この部分の気持ちは、当社の特設サイトでも語っています)。
理由は、まだターザンジャンプの動きそのものが実現できていないこと、そしてリリース機構の実現が非常に難しいものになると、設計しながら感じていたためです。
その予感は的中し、その後も部品が変形してロープがすっぽ抜けたり、キャッチの力を強化すると逆にリリースできなくなったりと、魔改造期間の最後の最後まで非常に苦労することになりました。
ほかにも、ロープをキャッチするローラーの駆動ギヤの摩耗や、負荷による部品の変形など、課題は山積みでした。特に、ロープをキャッチする背板のギザギザの角度は調整を繰り返し改良していきましたが、部品の変形によるロープのすっぽり抜けはなかなか収まりませんでした。時間的な余裕がない状況で、最短で実行できる最適解をひねり出したときは、大いにほっとしたことを覚えています。

プロジェクト真っ只中、マシンを調整する高橋さん(左) 画像提供:OKI
年長者の目線で見渡せた、勝ちたい想いの連鎖
今回の魔改造では全社的に募集がかけられ、様々な拠点からメンバーが集まってチームが結成されました。当然ながら、これまで一緒に仕事をしたことがなく、お互い知らない人が多い集まりでした。
そんな中、一カ月半という短期間でマシンを完成させ目標をクリアするためには、チームワークの向上が最優先で重要なことだったと改めて実感しています。
また集まったメンバーは若手が多く、その中で自分は年長の方でした。普段の業務では逆に先輩が多い環境で、自分が一番か二番目くらいの若手という年齢構成です。これまでは、常に自分の仕事に向き合うことに一所懸命になっていた感覚がありました。
もちろん、意識して壁を作っていたわけではありませんが、自分のことばかりで周囲の状況などが見えていなかったのだと思います。今回、魔改造の活動を通して、仕事への取り組み方を見直し、視野を広げてチームメンバーにも目を向けること、そしてチームの雰囲気づくりに貢献することの大切さを学びました。
さらに、OKI全体でのチームワークを実感する場面もありました。技術者だけでなく、魔改造に関わるすべてのメンバーが同じベクトル、同じ思いで集結するとここまで強くなれるのだと実感しました。「魔改造の夜」は番組の性質上、技術面ばかりにフォーカスされがちですが、その裏では改造に徹するコアメンバーだけでなく、社内の多くの方々の協力がありました。
- 設計したものをすぐに形にしてくれる「試作工場」
- 試技コースの作製・設置や改造環境を整えてくれた「技術管理・工務」
- 活動を記録し、社内外へ広く伝えてくれた「プロモーション・広報」
他にも多くのサポートがありました。支えてくださった方々からは「勝ちたい」「勝たせたい」という強い思いがあったと聞きます。実際に私たちも、そのような想いを受け取っていました。まさしく、チームOKIとして挑み、力を発揮した魔改造プロジェクトだったと思います。

大学の学びを土壌に花を咲かせる。教科書にはない「技術は人なり」
今回の魔改造を通して感じた、私にとっての「技術は人なり」とは、常に技術を磨き自ら成長し続ける“自分軸”と、周りの協力や人同士のつながりがあってこその“周囲軸”、その両方を忘れずに大切にして活動していくことです。
技術は一朝一夕に身につくものではありません。大学でどれほど勉強してきたとしても、社会に出てその業界に身を置けば、教科書には載っていない技術やノウハウが山のようにあります。これらは大学での学びを「土壌」として、実際に経験を積むことで初めて身につくものです。仕事の中で常に成長する姿勢を忘れてはならないと感じました。
今回の魔改造では、誰か一人でも欠けていたら、あるいはさまざまなサポートがなかったら、あのマシンは完成しませんでした。それは普段の仕事でも同じです。
技術者は専門の技術に集中し突き詰めてしまいがちですが、その技術を最大限に発揮するためには、やはり人と人とのつながりから視野を広げ、学び、さまざまな得意分野を持つ人たちの協力を得ることも非常に大切なことだと感じるようになりました。
教科書の先にある、正解のないモノづくりの世界。若手が全力で挑戦できる未来を支えていきながら、私自身も一人の技術者として走り続けていきたいと思います。
2015年卒
工学研究科
高橋 智久
関連リンク
NHK「魔改造の夜」xOKI 限界突破チャレンジ ※製造機の詳細がご覧いただけます。
https://www.oki.com/jp/ad/makaizo/
OKI電気工業株式会社 公式サイト
https://www.oki.com/global/ja/