デジタル社会を支える半導体技術
デジタル社会を支える半導体技術:日本の役割と未来への挑戦に不可欠な人材
近年、技術の進歩とデジタル化の進展により、半導体産業は私たちの日常生活において非常に重要な役割を果たしています。スマートフォン、コンピュータ、自動車、家電製品などの多くの製品に半導体技術が組み込まれており、技術革新の原動力となっています。
また、インターネットの普及とともに急速に拡大しているデジタル経済も、半導体技術の恩恵を受けています。オンラインショッピング、ストリーミングサービス、クラウドコンピューティング、ネット銀行など、日常生活を支えるデジタルサービスの背後には半導体技術があり、多くの新しいビジネスモデルや産業が生まれ、デジタル経済の成長が支えられています。
特に多くの産業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めており、製造業、医療、金融、農業など、さまざまな分野で半導体技術が活用されています。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術の普及により、産業の変革が加速し、効率化や生産性の向上が図られています。
さらに、5Gネットワークの展開により、半導体の重要性はますます高まっています。超高速通信が可能になることで、リアルタイムデータの処理や高度な接続性が求められ、これに対応するための半導体技術が不可欠となっています。5G技術の進展は、スマートシティやスマートホーム、インダストリー4.0といった次世代技術の基盤を支え、新たなビジネスチャンスを生み出しています。
自動車産業においても、EV(電気自動車)や自動運転車両の開発が進む中で、半導体の重要性が増しています。高性能なプロセッサやセンサー、通信チップなどが自動車に組み込まれることで、安全性や利便性の向上が実現されています。
自動運転技術の進展により、半導体は車両の「脳」としての役割を果たし、リアルタイムでのデータ処理や高度な運転制御を可能にします。地政学的な観点からも、日本の半導体産業は国際競争力の一端を担っています。
特に、日本は半導体製造装置や材料、実装技術において優位性を持ち、経済成長や国家安全保障に直結する重要な役割を果たしています。各国の政府は半導体工場への投資を強化しており、技術覇権争いが激化しています。日本は、技術革新とともに国際市場での競争力を維持するために、研究開発と人材育成に力を入れる必要があります。
しかし、近年では半導体不足が世界的な課題となっています。需要の急増や供給チェーンの混乱により、最先端半導体の供給が追いつかず、多くの産業で生産が遅延しています。
この問題は、半導体の供給体制の見直しや新たな生産拠点の設立などを促すきっかけとなっています。日本は、供給チェーンの強化とともに、海外依存を減らすための国内生産能力の向上を図る必要があります。
半導体産業が成長を続けるには・・・
さらに、半導体の製造には大量のエネルギーと資源が必要であり、環境負荷の軽減が求められています。各企業は、省エネ技術やリサイクル技術の開発に取り組んでおり、持続可能な半導体製造を目指しています。
例えば、再生可能エネルギーの活用や製造プロセスの効率化を進めることで、環境への影響を最小限に抑える努力が続けられています。日本の半導体産業が今後も成長し続けるためには、優れた人材の確保と育成が不可欠です。教育機関や企業は、次世代のエンジニアや研究者を育成するためのプログラムや研修を充実させる必要があります。
また、国際的な人材交流を促進し、グローバルな視点を持った人材を育てることも重要です。さらに、女性や多様なバックグラウンドを持つ人材の参画を促進することで、半導体産業におけるイノベーションと創造性を高めることが期待されます。性別や国籍に関わらず、多様な人材が活躍できる環境を整えることが、産業全体の競争力を高める鍵となるでしょう。
今後国に求められることは連携と推進力では
最後に、政府と産業界が連携して、半導体産業の振興と発展を支える政策を推進することが求められます。研究開発への投資や規制の緩和、税制優遇措置など、産業の成長を支えるための具体的な施策を講じることが重要です。
まずは、半導体の理論、デバイスの動作・種類、製造、製品としての品質・信頼性までを基礎から復習することが重要だと考えます。半導体産業に携わっている社会人にとって、これらの知識を学ぶ機会は非常に貴重です。
そこで、大学でのリカレント教育につなげられるような講座を東京電機大学校友会が主催する特別講座として開催します。
半導体産業にご興味ある方向けの特別講座を開催します
この特別講座は、半導体技術を再び学び直し、新しいキャリアとして半導体開発、設計、製造などの半導体産業にチャレンジしたい方のために企画されています。半導体産業を取り巻く現状から日本の地政学的役割を理解し、求められる技術や知識に関心がある方々に向けた内容です。講座内容は以下の通りです。
- 半導体基礎理論
- 半導体市場 今後求められる市場トレンド
- 半導体製造 前工程
- 半導体製造 後工程
- 半導体品質・信頼性の考え方
また、現在半導体関連の業務で効率化を図りたいと考えている方や、半導体製品の調達、販売、実装などの業務に携わる方々にも役立つ情報を提供します。半導体産業に従事するすべての方々にとって、実践的な知識の復習とスキル向上の機会となることを期待しています。皆様のご参加をお待ちしています。
<特別講座>半導体産業の背景について
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1988年
工学部第二部電子工学科卒
土岐 英秋
元インテル株式会社
執行役員常務 技術本部本部長