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令和元年度 神奈川県支部公開講演会 実施報告

令和元年7月20日(土)かながわ県民センター2階ホールにおいて、東京電機大学校友会神奈川県支部主催による第18回目の公開講演会が実施されました。
 講師に東京電機大学工学部先端機械工学科の三井和幸教授をお迎えして「新開発の機能性材料(EAM)によるリハビリ・トレーニングシステム」という演題で講演して戴きました。
 参加者は一般参加者、同窓生、役員も含めて40余名でした。
 講演会は真崎副支部長の開会の辞、平山支部長の挨拶の後、始まりました。
 本題に入る前に現在の日本の死因別死亡率から話され、がん、心臓病、脳卒中、肺炎の順序であるが、65歳以上の高齢者の死因順序は、がん、心臓病、肺炎、脳卒中、老衰となり脳卒中より肺炎の方が高くなり老衰の死亡率も増えてきています。
 高齢者は病気による死亡率の減少傾向にあるが、階段や、歩行中のつまずき等により要支援、要介護になったりすることがあり、その割合は運動器の障害が25%で最も多く、脳血管疾患が19%、認知症が16%、高齢による衰弱が13%、その他が27%で膝の痛み、足の痛み等の運動器の障害(25%)と脳血管障害による運動障害(19%)を合わせて44%となります。
 問題は脳梗塞による片麻痺状態での麻痺で、麻痺した片足を着地した時、体を支えるために長下肢装具で膝を固定するが膝が曲がらないために、足を曲げずに振り回して歩く「ぶん回し歩行」をリハビリの結果として覚えてしまうことです。
 これでは本当のリハビリにはならないので、これを改善しようとして三井教授の研究室で「新開発の機能性材料(EAM)によるリハビリ・トレーニングシステム」を考えたのです。
 長下肢装具で膝を固定すれば歩行時に膝を曲げることが出来ないので、体重が掛かった時だけ膝が固定され、足を上げて前に振り出すときには膝が曲る装具があればこの問題は解決出来るが、簡単な構造でモータや複雑な構造を使わずに、膝の固定と曲げの切り替えが出来る装具を開発することは従来の技術では困難であったが、三井教授の研究室で開発したと特殊ブレーキを応用した「電子制御膝ブレーキ」を開発し、装具への装着が可能となったのです。
 装具の概要は、電子ブレーキを用い無線式のスイッチからの信号により、電子的に膝関節の固定と解除を調節する機能を有するGS Kneeと、それを長下肢装具に装着することが可能なアタッチメントを開発しました。三井研究室で開発したゴムシートの様な機能性材料は電圧でブレーキ力の調整が可能でまだまだ色々な面で応用される可能性は高いと思います。現在これらの装具を用いたリハビリテーション用下肢装具は30施設でモニタ利用実施中とのことです。
 この他に、上肢トレーニング装置開発を試みられているとのことです。
 講演会終了後に質疑応答では、今までにない8~9名の質疑応答があり、参加者の講演内容についての関心の高さが感じられました。
 参加者のアンケート結果では講演内容がとても参考になったが75%、参考になったが25%でした。

(服部 記)

公開講演会写真 .pdf